「鳴海さん、お願いがあります」
「くだらない願いだったらお断りだ」
「違いますよー、とある女の子達の疑問に答えるためにやってほしいコトがあるんです!」
「・・誰だよ。"とある女の子達"って・・」
「その質問こそくだらないですよ!お願い、聞いてくれますよね?」




自分の隣に座る彼女が上目使いをして彼に尋ねる。

彼は彼女がその行為を意識的にしているのかどうか聞きたかったがやめておいた。


その上目使いに敵わなかったから。




「・・何だよ言ってみろよ」
「さすが鳴海さん♪ちゃーんとひよのちゃんに優しいですね!」
「普段あれだけ人のコトを罵っておきながらよく言うぜ」
「何か言いました〜?」




そう言いながら彼の人生を左右するコトが可能なあの手帳をちらつかせる。




「別に・・だから早く言えって」
「私を押し倒してみて下さい」




普段の彼女が絶対に言わない言葉を発言したので歩はもう一回確認した。




「・・・もう一回言ってくれ」
「私を押し倒してみて下さい」




確かに彼女は今、最初に歩が聞いた言葉を言った。

そして歩がやっとソレに対して反応した。




「あんた・・日本語判ってないんじゃないのか」
「まぁ!そこまで私を馬鹿にするんですか!!」
「や、だって・・あんた」
「もう!鳴海さん何してるんですか!?早く私を押し倒してみて下さいってば!!」




どうやら彼女は本気で言っているらしい・・。

今日は珍しく、彼が振り回されそうな雲行きだ。





























なら、どうしてほしい?





























「鳴海さんは私のお願いを聞いてくれないんですか!?」


彼女が怒る。

そう言われても"はい、聞きます"と押し倒すワケにもいかない。


彼はとりあえず彼女に何故そんなコトを言うのか聞いてみた。




「・・・何で俺がそんなコトしなくちゃいけないんだ?」
「何ですか!?普段あれだけ人のコト押し倒しておいて、何でやれと言われたら出来ないんですか!?」
「だから俺がそうしたときにはあれだけ反対して何で今そんなコトを言うのかって聞いてんだよ!」
「いいんですよそんなコトはどうでも!!とりあえず早く押し倒してみて下さいってば!」




2人とも叫ぶように話す。


結局、彼が折れた。




「・・・どうなってもしらないからな」
「押し倒すだけのコトで何でそんな時間をとるのか理解できませんよ!全く!」
「押し倒すだけって・・・」
「いいですから早くって言ってるでしょう!!」
「・・・ああ!!!もう判ったよ!!」







ばんっ!!!







彼が半分怒りながら彼女を机に押し倒した。

さすがに床にというワケにはいかない。




「・・あー、こんなカンジなんですね。判りました」
「何が」
「新聞の記事にしなくちゃいけないんですよ。"彼に押し倒された彼女の気持ちは!?"と言うネタで」
「・・・くだらねぇ記事」
「馬鹿にしちゃいけませんよー、結構読者だって多いんですから」
「あぁそうかよ」
「・・・鳴海さん」
「何だよ」
「いつまでこの体勢でいるつもりですか?もういいですよ?」
「は?」
「だから放して下さって結構とおっしゃってるんです」




人に押し倒させといてそれは無いと思う。

彼も勿論、反発する。




「・・あんた馬鹿言ってんなよ。このまま"はい、そうですか"とでも俺が放すと思ってるのか」
「私はただ"押し倒してみて下さい"と言っただけです。それ以上は望んでません!」
「望んでませんってあんたなぁ・・・」
「さぁ!放してください!」




彼女が何のためらいも無くそう言う。

どうやら本当に放してもらえると思っていたらしい。




「・・あんたの願い聞いてやったんだから俺の願い聞いてくれてもいいだろ」
「では、1つだけ聞いてあげましょうか?ただし・・」
「どうせこの続きはダメって言うんだろ」
「言いますね。なら、どうしてほしいんですか?どうせほかに何も無いんでしょう」
「・・・あんた何か俺に怒ってないか」
「さぁ?」




何故か今日の彼女は強いような気がする。

彼女が強くなった理由は彼の普段の行いのせいであるコトを彼は判っているのだろうか?




「・・はぁ〜、仕方有りませんねぇ」
「何がどう仕方無いんだよ」
「鳴海さんが甘えんぼさんだから仕方無いと言ってるんです。放してくれたらちゃんと何かしてあげますよ」
「・・・まぁ、あまり期待せずに放してやるよ」
「素直じゃありませんねぇ」
「放してやるんだから感謝して欲しいくらいだ」




歩がひよのの手をぱっと放した。

ひよのもすくっと立ち上がる。そして歩を見上げて話す。




「では鳴海さん。耳を貸して下さい」
「は?」
「い・い・か・ら!!」






ぐいっ!






「おい、無理に引っ張んなっ・・・」









次の瞬間、固まった。










「大スキですよ、鳴海歩さん」










彼がその言葉を耳元で囁かれたせいで身動きひとつ取れなかったとき、


彼女がニコっと微笑んだ。




「あれ〜?どうしちゃったんですかぁー鳴海さん。固まっちゃってますよぉ?」
「・・・煩い」
「どうやらひよのちゃんの言葉は鳴海さんにクリーンヒットしちゃったみたいですね〜」
「黙れ」
「人の目を見て話すコトも出来ない人が何言ってんですか」
「・・・・・・・・」
「では私は記事でも書きましょうかね〜。ぁ、鳴海さん帰っていいですよ、さよなら〜♪」




今日は思いっきり負けた彼。圧勝の彼女。


彼女がこれからもどんどん強くなるコトは、確定。


つづく。


あとがき。2004.12.06 ひよのの勝ちー。何か対等の2人って書けないんだよなぁー。 どっちかが圧勝になってしまう。まぁ大抵、歩なんだけど。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。