秘密―人に知られないようにかくすこと。公開しないこと。また、かくしたもの。―



ムカつくほど青い空。屋上。
自分を見下しているのかのように思えてまた鬱状態。
ヤル気なんてもともとZEROに等しいのに余計になくなってしまう。何もかも。



「違法者発見ー」



そしてムカつく声。でも何故か落ち着く。口にくわえてるコレのように。
何故こんなコトが違法行為なのだろう?誰にも迷惑なんかかけてないし。
ちゃんとご丁寧に外で吸ってやってんのに。
吸った本人がどうなろうと他人の知ったコトじゃないだろう?



「煩い」



彼女の顔を見ずにフェンス越しの外を腰を下ろしながら見続ける彼。
どうせ自分の隣に彼女が座るコトは判りきっているので。
自惚れているといえばそれまでの思考。



「もう・・反抗期真っ盛りですね」



彼の予想通りに彼女が横に座った。やれやれといったトコロだろうか。
そんな彼女を避けるように彼の口元から出る煙は風に消え去っていく。



「そんなコトしてたら頭悪くなっちゃいますよー?」
「少なくともあんたよりは良いから心配するな」
「むぅー・・えいっ!」



そう言いながら彼の口から煙草を取り上げた彼女。
今まで取り上げられたコトなんかなかったのに何故今さら?
気分で?勘弁してほしい。憂さ晴らしの1つなのだから。



「・・返せよ」



彼女の指先にあるソレから出る煙が空に昇る。
百害あって一利なしのソレは彼女には似合わない。彼にはそう思えた。

その瞬間、彼女が口にくわえてしまった。



「・・・・・・・」



別に驚きの表情を見せずに隣の彼女を見る彼。
無表情のまま外を見続ける彼女。
そして少し吸ったあと、放し、煙をはいた。



「・・・・・・・・・」
「上手くもなんともないだろ?」



そう言いながら彼は彼女の手からソレを取り返した。
"上手くもなんともない"と彼は言った。
なのにまた吸い始める彼。矛盾。

そう思っていたらソコを見事に突かれてしまった。



「・・じゃあ何で吸ってるんです?」
「何でだろうな。じゃあ何であんたも今吸ったんだ?」
「や、私はちゃんと理由がありますよ。鳴海さんとは違って」
「だから俺は今その理由を訊いてるんだ」



んー・・っと彼女が少し考えたあと、立ち上がった。
考えるくらいだったら理由も何もないじゃないかと思いながら彼女を見上げる彼。
彼女が言った。



「鳴海さんの秘密を知る第一歩なのですよ。コレは」
「・・俺の秘密?」
「えぇ」
「んなコトで一体何が判るんだ?」



そう、たかが人の煙草をちょっと吸っただけで何が判る?
彼はそう思った。なのに彼女はこんなコトを言った。



「・・鳴海さんが吸った煙草の味?」
「何故疑問系?」
「私にもよく判りませんから」
「・・だいたい俺の秘密なんてあんたの情報網で楽勝だろ?」
「や、でも鳴海さんの吸った煙草の味なんて実際に吸ってみないと判らないじゃないですか」



そりゃそうだ。しかしソレが判ったからといってメリットは何もないと思うのだが。
よくつかめない。まるで上にある雲のようで。
ソレはお互いがそう思っているコト。彼女が伸びをして、そして口を開いた。



「ちょっとした秘密からでも大きな秘密を知る鍵となるコトはたくさんあるんですよ」
「・・と言うかあんたの場合大きな秘密の方が既に知っているんじゃないのか」
「もっと大きな秘密の為に小さな秘密を知るんです、私は」
「欲張りだな」
「今さらじゃないですか?」



そう言いながら屋上を去ろうとする彼女。後姿は彼の視界に入っていない。
空を見ているから。煙を吐き出しているから。



「なぁ、」



呼びかけた。彼女の動きが止まり、顔の見えない彼を見る。



「俺の吸った煙草の味は結局どうだったんだ?」



風が絶え間なく吹く。快晴。
平和の証なのだろう、きっと。



「・・秘密ですv」



そう答え、階段を走って降りていってしまった。彼女は。
この風のように。彼はまだ空を眺めている。
もうすぐ授業が始まる。



「・・秘密、か」



そうぽつりと言い、煙草を床のタイルに押し潰した。
自分は彼女の秘密の一体何を知っているのだろう?と疑問を残されたまま。




『秘密』おわり。


あとがき。2005.1.26 ワケ判んない☆でもこーゆーのがスキなんだー。ゴメン。本気では反省してないケド(笑)。 まだセリフ100終わってないのにこちらのお題も平行にやっていくつもり。 こちらは順番バラバラなのでソコはスルーで!ではでは。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。