「お下げさんっv」 「きゃぁ!?」 急に火澄に勢い良く後ろから抱きつかれてビックリするひよの。 ちなみに場所は部室前の廊下。ひよのが扉の鍵を開けようとしていたときに起きた出来事。 「ひ、火澄さんですか・・ビックリしました・・」 「だって歩がおらんときしかこーゆーコト出来やんもん♪」 ぎゅーvっと自分の首に抱きしめてくる火澄。 別にイヤでは無い。火澄はイイお友達だし、ましてや歩みたいに意地悪もしてこないし。 むしろ何で歩なのだろう、と自分に問いたい気持ちにまでなる勢い。 だから抵抗せずに鍵を開ける作業をそのまま続ける。 「ぁ、お下げさん」 「何ですか?」 「首に赤いの付いとるで」 「!?」 ばっ!!!っとひよのは首元を見た。 確かにソコにあった。数多く。 「もしかしてお下げさん・・」 「な、何もしてませんよ?」 「や、そんな反応やったら誰でも判ると思うで?フツウ」 「・・・・・・・・」 お先真っ暗。 そんな言葉が頭の中に浮かぶひよのであった。 他のヤツのとこなんか行かせるかよ。 「初体験おめでとうお下げさん♪」 火澄は既にひよのから離れていて、イスに座っていた。 ちなみにひよのはと言うと今日1日ずっとこの首でいたのか・・と、カナリのショックを受けていた。 そして今度歩に会ったときには絶対に叱ろうと決意もしていた。 「やー、まさかあんなにガードが固かったお下げさんがなー」 「わ、私は・・!その・・・」 恥ずかしそうに口ごもるひよの。 コレは歩がスキな彼女の反応のうちの1つ。 火澄は可哀想になってきたのでこれ以上聞くのをやめた。 「大丈夫やってお下げさん。俺は歩とは違うからこれ以上聞かんし」 「で、でも・・・」 「でも?」 「・・やっぱり恥ずかしいんです、ケド・・・」 「何やお下げさんらしく無いでー?俺に"おめでとう"って言われたんやで そこで"ありがとうございます"って落ち着いて返すのがお下げさんやろー?」 一応励ますつもりで言った火澄。 ひよのもしばらく考えてから納得したのか 「・・それもそうですよね!」 と、元気に言った。 そして普段通りの自分でいるコトを心に決めた。 「でもっ!絶対鳴海さんが来たら私は首のコトは怒りますよ!」 「おー、やっと普段のお下げさんらしくなってきたなぁ」 「だってこんなに痕を付けたんですよ!?誰だって怒ります!」 「んー、まぁ歩の気持ちが込められとるカンジでええんちゃうん?」 「ちっっともよくありませんよ!!だいたいあのキス魔は・・・!」 ぱこっ ひよのの頭に何かが当たった。当てられた。 そして後ろをそぉー・・っと振り返ると。 「・・バカなコト言って騒ぐな」 歩がいた。 この展開に何となく慣れてしまったひよのは割と落ち着いていた。 や、内心ビックリしていたが。表には出さなかった。 そんなとき、ひよのよりも先に火澄が歩に話しかけた。 「あのときやろー、歩」 「何がだ」 「一昨日は誰も家に帰ってこやんかったもんなー」 「だから何が」 「それ言ったらお下げさんが可哀想やろー」 そう言われたときに歩はやっと判ったらしい。 意外と変なトコロが鈍い。 火澄が今度はひよのに話しかけた。 「ほら、お下げさん怒らな。歩に」 「ぇ。ぁ、そうでした!と言うワケで鳴海さん!!」 「・・何だよ」 面倒そうに話を聞く歩。 さすがに無視は出来ないらしい。後が煩いため。 じっとひよのが歩を見る。 「何でこんなに痕付けちゃうんですか!!前にダメって言いましたよね!?」 「首のコトか?」 「そうに決まってるでしょう!!今日1日ずっとこれだったんですよ!」 「あぁそう」 "だから?"というカンジの歩の反応に更にムカついてくるひよの。 わざとなのか素なのかも判らない。 そのとき、歩がひよのに小さな箱を差し出した。 ソレはさっきひよのの頭に当てたモノで。 「ほら」 「・・何ですか?コレ」 「見れば判るだろ。バンドエイド」 「ぇ・・別にケガしてないんですケド?」 「首にでも貼っとけ」 そう言って歩は席に着き、いつものように雑誌を見始めた。 少しの間思考が停止しているひよの。 ずっと2人の会話を聞いていた火澄がひよのに話しかける。 「良かったやんお下げさん♪歩も一応悪いと思っとるらしいし」 「ぇ。ま、まぁ・・・そう、ですかねぇ・・」 「まぁ俺的には貼った方が目立つような気もするんやケドな。」 最も正しい答えを出した火澄。 ちなみに歩は2人の会話を全く無視。意識的になのか無意識なのかは不明。 「歩もちょっとは人の心を持っとったんやな〜」 「・・もうお前帰れ。煩い」 「あーそんな酷いコト言うんやなー。お下げさんに言ったろ〜」 「何を」 「こう言うんや。お下げさーん!歩が"他のヤツのとこなんか行かせるかよ"やって〜!」 「は・・?・・・・えぇえぇ!?」 さっきまで少しぼーっとしていたひよのが驚いた。 や、一応話を聞いていたので言っていないコトは判ってはいるのだが・・ 何故か恥ずかしいというか、歩の顔をまともに見れないというか何というか。 そんな様子のひよのを見て火澄がニコニコとして歩に訊く。 「今絶対お下げさん見てカワイイって思ったやろ?歩」 「・・思うかよ」 「素直やないなーお前。コレが見たいからお下げさん虐めるくせに」 「いいから早く帰れ」 「言われなくても帰ったるわ。じゃあお下げさん、歩なんて放っておいて一緒に帰ろうや♪」 「ぇ?」 ぐいっと腕を火澄に引っ張られるひよの。 しかもちゃっかりひよののカバンまで彼は片手に持っている。 このままだと本気で一緒に帰るコトになりそうだ。 別にひよのは火澄と帰るコト自体はイヤじゃない。 だが歩のコトが心配なので何も考えないワケにもいかない。 そして一応心配されている彼はというと。 自分を見ていて。真っ直ぐに瞳を。 そのコトに気付いた火澄が歩に言った。 「歩、こーゆーときはさっき俺が言った言葉を言え。そしたらお下げさんを離したる」 「・・まるで人質だな」 ため息を付く歩。 ちなみにひよのはというと、今までも何回かこう思ったコトがあったが どうもこの2人が話している間に自分は話に加わりにくいような気がする。 と、いうコトで今現在も加わるコトが出来ないのであった。 「・・なぁ」 「何や。俺もう帰るで。お下げさんと」 「本当に言うのか」 「言うんやろうな。まぁお下げさんをいつもスキなようにしとるで仕方ないんちゃうん?」 「何でそうなるんだよ」 「でもお下げさんの様子からして無理やりやったようではないカンジやなー。珍しく」 ひよのがその言葉を聞いてかぁーっと赤くなる。 その反応を見て火澄が 「お下げさんやっぱカワイイなぁ〜v」 と、ひよのの頭を撫でた。 それは歩に早く言わせるためにわざと言ったのか。それともただ言ってしまっただけなのか。 とりあえず歩は言った。 「・・他のヤツのとこなんか行かせるかよ」 そしてひよのの腕をぐいっ!!と引っ張り、 何とか取り戻したのであった。ひよのを。 まるでソレは子供のおもちゃの取り合いのようにも見えたが。 「ん。じゃあ俺帰るわ。お下げさん頑張りや〜また明日なー」 ニコニコとしてあっさりと帰って行ってしまった火澄。 もとからひよのと2人で帰る気など無かったので。 結局は2人の仲を発展させたいだけなのだが歩にとっては迷惑なだけらしい。 その証拠にはぁー・・っと疲れた様子でため息を付いている。ついでに頭も抱えている。 腕は放さないが。 とりあえず隣にいる歩をひよのはおずおずとした態度で見た。 「あのー・・」 「・・何だよ」 「えーっと・・とにかく!もう痕は付けないで下さいね!」 「と言うかフツウ気付くだろ。途中で」 「そのときはそれどころじゃなくなるから今の間に言っておくんです!判りましたか!?」 「まぁ一応考えておく」 「〜〜っ!!」 ひよのがいくら言っても言うコトを聞いてくれない様子で余裕の歩。 むぅ〜っ・・と不機嫌なカンジで睨むひよの。 何があってもこの関係は変わらなそうである。 つづく。
あとがき。2005.1.24 事後話ってもっと色々とソレがあった方がいいんだよね?(意味不)ゴメン、フツウで(笑)。 しかも何気に火澄がイイ人なのか悪い人なのかよく判らないよね。あーぁ。 日付とかつじつま合って無くてもそこら辺はスルーしといて下さい。と言うか全部スルーして! *お手数ですがメニューからお戻り下さい。