ひよのはぼーっと歩の家に泊まったときのコトを思い出していた。(お題22参照) 今思えば何で自分は「泊めて欲しい」などと言えたのだろう? そんなコト言えば歩と"そーゆーコト"をするのは判りきっていたコトだし。 つまり自分は心の中にそのコトを期待していた部分があったワケで。 そう思うとまともに歩の顔が見れなかったりしたり。 でも自分と同じように目の前にはその彼が座っている。 彼はあれからといっても別に態度は変わりない。 いつものように何を考えているのか判らない表情で何かを読んでいる。 じーっとひよのが見ていたせいか、歩がひよののあるコトに気付いた。 「・・貼りすぎだろ、ソレ」 「ぇ?あ、首ですか?」 歩にもらったバンドエイド(お題23参照)をひよのは大いに活用していた。 貼った方が目立つというコトは判っていたが、コレは彼女の意地であった。 「ムカつくので貼らして頂きました。貼りすぎだと思うのなら鳴海さんが付けすぎるというコトですからね♪」 「ふーん・・」 そしてまた視線を読んでいたモノに戻した。 興味無さそうな反応を示した歩に対してひよのがまた更にムカついていたコトは 言うまでもない。 今オレ普通じゃないから何するかわかんないよ? 「・・何だよ」 あまりにもひよのが睨みつけてくるので訊ねた。 ひよのは思っていたコトをそのまま言った。 「鳴海さんがなぁーんにも反応を示してくれないから怒ってるだけですケド?」 「構って欲しいのか?」 「微妙に違う気がしますね。でもまぁ、それでいいですよ」 「・・ならこっち来いよ」 頬杖を付きながら彼はそう言った。 そして疑い深い目でひよのは歩を見た。 しかし構って欲しいのは事実なので席から立ち、彼の横にゆっくりと向かった。 「・・来ましたケド?」 「なら座れば?」 「ドコにです?」 「上」 歩はどうやら自分の上に座れと言っているらしい。 とりあえず座る前に訊ねてみる。 ひよのが立っていて歩が座っている状態なのでやや見下ろしているカンジになる。 「変なコトしませんか?」 「・・正直に言ってやろうか」 「どうぞ」 「今俺普通じゃないから何するか判らないんだが?」 「・・・・・・・・・」 沈黙。 座ったら最後のような気がする。 そうなる前にもう少し質問を続ける。 「普通じゃないとはどーゆー意味ですか?」 「色々あるんだよ。気にするな」 「そんな曖昧なコトで私は何かされなくちゃいけないんですか」 「構って欲しいって言ったのはあんただろ?」 「・・・・・・・」 ムカつく。ケド、 座ってしまう自分がいて。 もう病気かもしれない。最近は特にそう思う。 そして近くに彼がいると思い出してしまうのがあのときのコト。 何となく立ち上がってしまいたい衝動に陥ったがソレは抑えられてしまった。 歩がすでにひよののわき腹の辺りから腕をまわしていたから。 「・・鳴海さん」 すでに自分の髪に口付けている歩に話しかける。 黙っているのは何となくイヤだった。 「何か最近調子に乗ってません?と言うか手出すの当たり前になってません?」 「知らない。俺はちゃんと事前に言った」 「何するか判らないって言っただけじゃないですか・・」 「十分だろ?」 「むー・・」 ひよのは機嫌が悪くなっている。それは確か。 そして同時にさらにあのときのコトも思い出してしまって。 気付いたら頭を横に振ってしまっていた。思い出さないように。 「・・何してんだよ」 距離が近いため自然と歩がひよのに囁くようなカタチになっている。 それがまた余計に思い出しそうになるというのに。 「・・・何か、思い出しちゃって・・」 「何を」 「その・・ぇっと・・」 言いにくい。 歩も歩でわざと訊いてくるのか判らないし。 いつのまにかひよのの服のボタンを外してるし。 そこでひよのがはっとしたように反発する。いつものように。 両手で脱がされかけの部分をばっと隠しながら後ろにいる歩を睨む。 「なぁーるぅーみぃーさぁ〜ん?何してるんですか?」 「だから言ってるだろ?何するか判らないって」 「そんな言い訳は通用しません!と言うかココ学校なんですよ!?何考えてるんですか!」 「なぁ、そのバンドエイド外せよ」 「ぇ。・・ってそうじゃなくてっ!!話ちゃんと聞いて下さいよ!」 「思い出しそうなんだろ?」 その言葉に対してぴたっとひよのが停止した。目の前には歩の顔。 頭の中に浮かぶ。フラッシュバックする感覚。 ひよのの顔がぼっと火が付いたように赤くなった。 「ゃぁ・・っ、もうこっち見ないで下さいよ・・!」 「実際にはあんたが俺の方見てるだけだし?」 「と言うか何であんなコトがあったのに普通にいられるんですか!」 「さっき普通じゃないと言ったはずだが」 「とにかく!変な言い訳してないでそーゆーコトは止めて下さい」 片手で服を押さえながら、もう片方の手で歩の方をどんっ!と叩く。 だけど彼の態度はちっとも変わらない。余裕。 その証拠に片手は未だに彼女のわき腹にあって逃げ出さないように押さえつけてあり、 もう片方はひよのの顎に。彼の方へ無理やり顔が向けられる。 「・・微妙にこの体勢苦しいんですケド」 反抗するコトを少し諦めているひよのが不満を述べた。 ボタンを忘れずに閉めながら。 歩はというと不満を述べられたため、ひよのを少しだけ抱えあげ、 体ごと自分の方へ向くようにした。向かい合うカンジで。 ひよのが歩の足にまたがり、上から彼を見下ろすカタチになっている。 そして歩の片手はやっぱりひよの顎にあって、もう片方で彼女を後ろから支えている。 「コレでいいだろ?」 「・・体勢的にイヤです」 「ワガママ言うなよ」 「あなたに言われたくないです」 そして、至近距離。 歩が後ろからひよのを押して顎を手前に持ってくるため。 しかしソレをひよのが 「待って下さい!」 と、言いながら歩の口の前に手を出して遮った。 勿論、歩はとても不機嫌そう。 「・・・何だよ」 「その前に!どーゆー風に普通じゃないか教えて下さい」 「何で」 「言わなきゃチューは無しですよ?」 「・・・・・・・・・」 「だってムシャクシャしてるから憂さ晴らしに、とかイヤですもん」 「・・そんなんじゃねぇよ」 「じゃあ何ですか?」 気持ちが無いのにそんなコトをするのはイヤだから。 ちゃんと意味があってして欲しい。 だからひよのはSTOPをかけたのであった。 「・・・・・・から」 「え?」 小声すぎてひよのの耳に入らない。 どうやら彼はあまり口にしたくないらしい。 このような反応をされると余計に聞きたくなるのが人間。 ひよのはさらに歩に顔を近づける。 「もう1回言って下さい。聞こえませんでした」 「・・・・・・・・・・」 「さぁ!鳴海さん頑張って!」 「・・んなコトで応援されてもちっとも嬉しくない」 「あれ?これでも一応いつでもひよのちゃんは鳴海さんのコトを応援しているんですよ?」 「・・・・・・・・・」 「言ってくれますよね?」 穏やかな顔をして言う彼女。 そんな顔されたらますます言いにくくなるコトを判っているのだろうか? そう思いながら、歩はもともと近くにあったひよのの耳にさらに近付いて。 「・・もう2度と言わないからちゃんと聞けよ」 「はい。ちゃんと聞いてますよ」 告げた。 あんたのコト好きで仕方が無いから。 そして歩はひよのに驚く間も与えずに唇を塞いだ。強く。 しっかりと抱きしめて。 初めの方は驚きのあまりに少しだけ抵抗しそうになったひよのだったが すぐに動かなくなった。受け入れた証。 しばらく経って、彼がやっと放した。 「・・あなたは本当に言葉にするコトが苦手なんですね」 「安っぽくならなくていいだろ?」 「そんなの言い訳ですよ」 「理解してる」 「ソレに対して謝罪の言葉は無いんですか?」 「俺が?言うワケないだろ。そっちの方が理解しろ」 「理解してますよ?イヤと言うほど。変なトコロでお互い理解し合ってますね」 「嬉しいのか」 「ちっとも♪」 「同感するよ」 そしてひよのはまた違うコトを理解した。 何故自分はこの人に一度身を預けたのかというコト。 ソレはこの人と同じコトを自分は思ったからだというコトに。 つづく。
あとがき。2005.01.29 何時書いたんだろコレ(笑)。ぁ、反転部分あるんで探してみて下さい。 まぁ、でも色っぽい系のお題のヤツより皆さんこっちの方がスキかな?? とか照久は勝手に思ってるワケですが。どぉですか? *お手数ですがメニューからお戻り下さい。