「あー、ゆー、・・・」


ひよのがイスに座っている歩に後ろからそぉっと手を伸ばす。



「くん!!」



そして後ろから飛びついた形になった。


「・・・以前に誰かもやってたな」
「もう!何でビックリしてくれないんですか!?」
「同じネタは何回も使えないと言うコトだ」
「?よく意味が・・」
「判らないだろうな。・・で、用件は何だ?」
「あゆ君は用が無いと呼んじゃいけないんですか?」
「・・何なんだその呼び方は。」
「本日のひよのちゃんのマイブームです」
「意味が判らないな」
「もしかして照れてます〜?」
「・・・さぁ?」



そう言いながら机の上にあったペットボトルに手をのばす歩。

ソレを見たひよのは歩に注文。



「では、あゆ君。喉渇いたんでソレ下さい!」
「・・俺のなんだが」
「気にしちゃ負けですよ♪」
「・・・・・・・・・」





























大丈夫、オレは優しいよ。





























「重いからそろそろどけ」




結局、歩からペットボトルをもらえた(奪った)ひよの。

しかし今だに座っている歩の上に飛びついた状態のまま。

しかももらったソレで優雅にのどを潤している最中。


どく気配は一向に無い。





「ふー、今日何にも飲んでなかったんで喉カラカラだったんですよー」
「判った。だからどけ」
「何ですかー?あゆ君だっていつも私がいくら反抗しても放してくれないじゃないですか〜」
「気分だ」
「なら私も気分です」





顔は見えないが多分、彼女はニコニコしながらそう答えているのだろう。

と、言っても首から手を回され体重をかけられるとカナリキツイのも事実。





「そうかそんなに俺に触りたいのか」
「あゆ君と一緒にしないで下さい。こうしていればあゆ君は何にもできないでしょう?」
「誰かさんの体重が重たいからな」
「首絞めますよ?」
「本気でやりそうだからやめろ」
「本気ですから」
「だろうな」





はぁー、とため息を付く歩。





「俺も喉渇いたから返せ」
「"優しいひよのちゃんどうもありがとう"と言って下さればいいですよ?」
「ヤサシイヒヨノチャンドウモアリガトウ」
「外国人なみに片言な日本語でしたがまぁ、いいでしょう」





ひよのが歩にペットボトルを返す。

幸い、飲み干されてはいないようだ。


と、ソコで歩があるコトを思いついた。





「なぁ、あんたが邪魔で飲めないんだよ。どうにかしろ」
「・・・口移しでとかは無しですよ?」
「誰もそんなコト言ってないだろ。あんたがどけばいい話だ」
「仕方が有りませんねぇ・・」





残念そうに歩から離れるひよの。

口に含むその前に、歩がひよのに話しかけた。





「・・・そういえばあんた口移しがどうとか言ってたな」
「!?だ、ダメですよ!?私はしてあげませんからね!絶対!!」
「大丈夫だ。俺は優しい」
「今までの行動からよくそんなコトが言えますねとか言いたいトコロですが今は感謝します。」
「優しいから・・・、」







イスから立ち上がりすぐ後ろにいたひよのの腕を引っ張ったコトは、

彼にとってとても容易いコトであっただろう。


その後自分の腕の中に閉じ込めたコトも。







「あんたに飲ませてやるよ。俺直々に」
「・・・はめましたね」
「喉渇いてたんだろ?」
「いいえもう結構です。放して下さい!!」
「あんなにあゆ君にベタベタしてたくせに」
「と、とにかく!やめて下さい!!」
「何故?」
「な、何故って・・・」





一気に形勢逆転。すっかり歩ペース。

その証拠に歩はすでにペットボトルを片手に保持。





「もう諦めろって。安心しろ、ちゃんと飲ませてやるから」
「〜っ!!!」





ものスゴク悔しいひよの。

逆転するためには本気で拒否をすればいいのだがそーゆーワケにもいかない。


ひよのには歩を拒絶するコトができないから。

だから、せめて余裕があるように自分を見せるしかもう道は無い。





「・・・飲ませたとたん吹き出してあげましょうか」
「あんたにはそれは出来ない」
「何故言い切れるんですか?」
「吹き出す力もその頃には残ってないから」
「・・・・・・・・」
「覚悟は決めたか?」
「・・・何を今さら心にも無いコトを」
「じゃあ・・・・」







歩が彼女に飲ませるモノを口に含む。

その直後、本当にその後一瞬でひよのに口付けた。


そして、彼女にソレを渡す。







「んっ・・・はぁ・・」





いつも声がもれるのは彼女だけ。

もらさないようにと意識はしているのだが体が言うコトを聞いてくれない。



そして、ひよのが飲み切ったコトを確認してから口を解放した。


彼女が完全に力が抜けているから体は放さないが。





「あんたいつまで経っても慣れないんだな」
「・・あゆ君が慣れ過ぎなだけです」





ココであゆ君と呼んだのは少しでも余裕があるように見せるため。

今さら手遅れなコトではあるが。





「あんたも言えよ。"優しいあゆ君どうもありがとう"って」
「ヤサシイアユクンドウモアリガトウゴザイマス」
「・・・素直じゃないな」
「あなたに言われたくないですね」





素直じゃない2人の会話。

その後も、しばらく続いたコトは言うまでも無いだろう。









――――おまけ。

「・・・そろそろ放してくれませんか」
「待てよ。口に飲んだヤツ垂れてる」
「ぇ!?」


そこで歩がひよのに垂れていたソレを舐めすくった。


「・・・嘘付きました?」
「嘘じゃない」
「嘘じゃなくても拭くか何かほかの方法があるでしょう!!」
「俺は優しいから・・・」
「優しくありません!!!」


つづく。


あとがき。2004.11.28 ひよのペース→歩ペースに。つーか最近の歩は調子こいてチューばっかしてると思う。やりすぎ。 そして何と先の読めるお話でしょう。口移しとかベタなモノまで使ってるし。 ・・・でも、そんなベタなモノがスキなコトは一切否定しません。と言うかできません。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。