ひよのだってたまに考える。 や、別にいつも何も考えていないワケでは無くて。 歩との関係の調整みたいな。そんなコト考えてたりする。 判りやすく言うと。コレ以上進んでいいいのかというコト。 歩のコトはキライじゃなくてスキ。それはとりあえず間違っていない。 でも、彼の行動にそのまま流されていいのかはとても微妙。 だからとりあえず今までは反発してきたワケだが。 ・・反発しなかったらどうなるんだろう、とか思いつつ。 今現在自分は歩の家に来ていて。しかも歩の部屋。火澄もいない。 「・・・・・・・・・」 黙ったまま考え込んでしまっている。部屋に入ったすぐの状態のまま。 しかも立ったままなので先に座っていた歩にとってはとても不自然な状況。 「・・何してんだ。あんた」 「ぇ・・・?ぁ、スイマセン。ちょっと考え込んでしまって」 そう言いながら歩と同じように床に座り込む。 だけどひよのは未だに考え込んだまま。 何か様子が変な彼女に歩が気を使ってかは判らないが話しかける。机越しの彼女に。 「・・で、今日は何のために来たんだ?」 歩の家に行くと言ったのは彼女。そのときはとりあえず「行く」としか言ってなかった。 ひよのは今まで来るのを拒んでいるような様子だったので 何か用事があったためにココに来たと考えるのが普通だと思う。 だけど目の前に彼女は黙り込んだまま何かを考え込んでいる。 別に表情が暗いワケではないから深刻に考えるコトでは無さそうだが。 「・・えーっと・・・ですね」 実はひよのにはちょっとした決意みたいなモノが心の中にあった。 とても大切で、彼女にとっては大きな覚悟が。 セーブするよ、理性が残ってるうちはね。 「あの、ですね・・」 「・・・何だよ」 だんだん不機嫌なカンジの歩。 先程から彼女はこんな様子なため話が前に進まない。 言うコトにためらいがあるらしい。一体彼女は何を言うつもりなのだろうか? 「い、言いますよ・・?」 「だから早く言えって」 「・・・怒らないで下さいね」 「多分」 「・・・・・・・・」 「・・怒らないから言え」 いつもは強気な彼女が今は弱気。違和感。 そんなに大事なコトを言おうとしているのだろうか。 「・・明日、休みじゃないですか。学校」 「休みだな。で?」 「で、その・・・」 しばらく溜めてからひよのは歩の目を真っ直ぐに見て言った。 恥ずかしそうに。 「・・・泊まりに来たんです」 沈黙、と呼べた。耳鳴りがするくらい静かな部屋になっていたから。 別に驚いた表情を見せない歩にまた恥ずかしさが募るひよの。 彼女は彼のこの何を考えているか判らない表情がとても苦手であった。 その逆に自分は出してしまいがちなので。 彼が言葉を発した。 「・・誰が」 「・・・私がです」 「誰のトコロに」 「な、鳴海さんのトコロに」 「・・狙いは何だ」 「ぇ?」 「盗聴器でも仕掛けに来たのか?」 「ち、違いますよ!!それって犯罪じゃないですか!!」 「や、あんたフツウに犯罪犯してるだろ。いつも」 「むー・・・」 自分はカナリ勇気がいるコトを言ったのに彼はこんなコトを言ってくる。 わざとはぐらかすため・・?とも思える行為だがそのときのひよのはそんなコトを思わなかった。余裕が無い。 でも、心はすでに固くなっていなく緩んでいた。 言いたいコトを言えた。普段の彼女に戻ったと言える。 「・・だって、鳴海さん前に言ってたじゃないですか。泊まりに来いって」(お題18参照) 「言ったか?」 「言いましたよ!!」 実際には彼はあのとき"・・・さぁ?"とはぐらかしたし、来いとは言ったが泊まれとは言っていなかった。 そのときのコトをお互いによく覚えていないのでとりあえず言ったコトにして話を進めた。 「・・で?」 「だ、だから泊まりに来たんですよ!」 「ふーん・・」 「な、何ですか・・」 頬杖を付きながら歩はこっちを見てくる。 やっぱり何を考えているのか判らない表情で。苦手だ。 「でも、あんたそう言われて来るようなタイプじゃないだろ」 「え・・」 痛いトコロを突かれた。 見透かされているようだ。気分が悪い。 「・・何のために来た」 「・・・・・・・」 「言わないなら泊めない」 いつの間にか指導権は歩に。 普段の彼女だったら 「何バカなコト言ってるんですか?泊まるなんて冗談ですよ」 と、こんなカンジに言って話を終わらせるハズ。 でもひよのはどうしても泊まりたいらしく。 黙っていたから判る。 「・・私は・・・」 彼女が言葉を出した。 静かに聞く歩。目は離さない。離してあげない。 「私は、鳴海さんと・・」 彼女はさっきからずっと考え込んでいたコトをついに言った。 真っ直ぐな瞳で、両手を密かに握り締めて。 「関係を・・少しでも、前進させたいなと思って・・来ました」 正直、ずっとこのままの状態に不安があった。 何か少しでもいいから良い方向にコトを運べないかと考えた結果がコレになったワケで。 しかし彼にとっては 「・・・は?」 と、言葉をもらしてしまうようなコトであった。ソレは。 それだけ?と言うカンジで。 「・・あんたってさ」 「だ、ダメですか・・?泊まっちゃ・・」 「や、別にソレは最初からいいが・・」 バカだよな、やっぱ。と言いたい歩。 ひよのが少し泣きそうな顔になっていたため言わなかったが。 そして本当にこのまま泊まるコトになったひよの。 だがその割には・・ 「・・荷物少なくないか?と言うかあんたまさか思いつきで泊まりたいって言ったんじゃないだろうな」 「え?だって服は鳴海さんから借りちゃえばいいと思って持ってきてませんもん」 「・・あぁそうかよ」 勝手にそこまで決めといて何故泊まりたいと言うコトにあれだけ時間がかかったのか よく歩には判らなかった。しかももう既に彼女は歩のベットに寝転んでるし。 「ぁ、寝心地良いですね〜コレ。と、言うワケで鳴海さんは床に寝て下さいね♪」 とか勝手なコトばかり言い始める。 普段のひよのに戻った証拠である。まぁ、その点はいいかと思えたりする自分がいたり。 「ぁ、そうそう。えっちぃコトはしちゃダメですからね。判っていると思いますが」 「・・あんたやっぱり馬鹿だな」 「何がです・・・?」 どさっと、 もともと寝転がっていたため簡単に歩が自分の上にいる状態になってしまった。 両手はしっかり自分の顔の横に押さえつけられている。 「泊まりに来た、つまりそれは暗黙の了解なんだよ。覚えとけ」 「べ、別に私そんなつもりで来たワケじゃ・・」 嘘。 本当は少し迷いがある。歩にもそれは判っているようで。 何故なら普段の彼女だったら「放せ」やら「どけ」やら言って反発してくるから。 そして、今歩は判った。 彼女が泊まると言うコトにあれだけ時間がかかっていたそのワケが。 「・・あんた、本当はこうなるって判ってて泊まるって言っただろ」 「・・・ちょっとだけ」 「じゃあ何でさっきやめろって言ったんだよ」 「だって、なるべく何もしないままの方がいいんですもん・・」 「・・・・・・・」 とてつもなく微妙な反応のひよの。 最初ははっきりとした覚悟があったのだが 今は出来るなら何もしないでコトを終えたい気持ちになってしまった。 「・・・判った」 「え?」 「セーブする」 「ぇ、本当ですか?何もしませんか?」 幼い少女のような瞳で歩を見るひよの。 歩的には"何なんだコイツ・・"と思っていた。 未だに気持ちが明らかに出来ない。 だから、言った。 「・・理性が残ってるうちはな」 「・・・ぇ?・・・・・ってえぇえぇ!?結局、その・・しちゃうんです・・か?」 「・・・さぁ?」 「こんなときに曖昧な返事返さないで下さいよ!」 「あんたの方が曖昧だと俺は思う」 「や、こーゆーときは誰だって曖昧になりますよ。仕方ないじゃないですか・・」 「と言うか抜け出そうと思えば簡単に抜け出せるコトないか?」 確かに歩はすでに力はそんなに加えてなかった。 なのでひよのは逃げ出すコトが可能。 だけどそうしないと言うコトは。 「・・どうする?」 「・・・だから性悪って言われるんですよ」 「答えになってない」 「むー・・いいですよっ!!こう言えばいいんでしょう!?」 「何で怒られなきゃならないんだよ・・」 結局、ひよのは本当に歩の家に泊まった。 ただの泊まっただけでは無かったが。色々と。 とりあえず関係は大いに進んだというコトらしい。 つづく。
あとがき。2005.01.19 んー、ちょっとギリギリ?まぁ、そーゆー系のことは書いてないから大丈夫なハズ。 ひよのさんもついに許しちゃったなぁーみたいな。 ぁ、でもこれからも彼女のガードは固いままですよ?うん。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。