憧れている、って言ったら正直に「うん、そうだよ」と答えるかな。 まぁ、今の自分にも十分満足しているんだけど。 でもね、しなくちゃ判らないコトもたくさんあると思うんだ。 辛いコトも泣いちゃうようなコトばかりかもしれないケド。 でもやっぱり少しはそーゆーのをしてみたいと思ってもいいぐらいの歳じゃない?23歳。 ・・遅いくらいか。うん、でもしてみたいの。希望するなら"運命的"ってカンジで。 こんなコト言ったら「学生じゃないんだから」とか言われるかもしれないケド、 生物学上"女"なんだから心の端っこでほんの少しくらい夢見たっていいと思うでしょ。 何も見えなくなるような、何かに支配されてしまうような、そんな恋に。 心情テロリスト ―the first action― 「お疲れ様でしたー」 18時。お仕事終了。 お仕事、と言ってもまだ入社して1年も満たないから大したコトはしていないんだけど。 一応、都心にある結構有名な編集社で働いてます。彼女。 彼女とは「結崎 ひよの」という名前の人。23歳で彼氏もいない。当然、独身。 周りには色々と言われるんだけど、あまり気にしていない様子。 しかも今どき三つ編みお下げ。コレが本人にとっては一番しっくり来るらしく。 「ぁ、結崎さん」 大きな仕事場から出て行こうと、扉を開けようとした途端、同僚の男から声をかけられた。 彼女は特別イヤそうな顔もせず、その男の近くまで歩んで「何ですか?」と答えた。 「今晩食事でもどう?」 「いいですねー。でもスイマセン。今日は私の部屋に新しい人が来るんで挨拶とかしておきたいんです」 「ぁー、何か言ってたね。ってコトはココで働いてる人なんだから別に必要ないんじゃない?」 「いえ、ココで働いている私の友人のいとこが3ヶ月間住みたいそうなんです。 通っている学校が私の住んでいる社宅に近いらしくて。ついでに私の部屋ってわりと広いんで、だからです」 「・・それって女?」 「当たり前じゃないですかー。男の人だったら勿論断ってますよ」 では失礼しますね、と軽く挨拶を交わして彼女は今度こそ仕事場を離れた。 広くて綺麗な廊下を少し歩き、エレベーターのスイッチを押す。 思っていたよりすぐに扉は開き、無人の箱に乗り込む。 コレもまた結構広くて。まるでコレが彼女の今の居場所を示しているようにも思える。 高校時代、それなりに勉学に励んで文系の大学へと進学した。 これと言って"青春時代"と呼べるような甘い出会いもなく、またそこまでは望んではいなく。 そして今はココで働いている自分がいる。雑踏に紛れ込んで。 「(そういえば名前聞いていませんでしたねー・・)」 ぼーっとしながらエレベーターの壁へもたれる。 同居を快く許したのは何となく。なかなか無い環境に置かれるのもまた楽しめるかと。 相手は彼女よりも1つ年下らしく。大学生。 都心での暮らしは何かとお金が要るので家賃だけでも何とかしたかったらしい。 そんなコトを彼女はそのいとこである友人に聞いた。 会社から出て、夕飯の材料でも買いに行く道々でも色々と考える。 やはりそれなりにこれから3ヶ月間一緒に暮らす人が出来るのは心が跳ねる。 今まで1人であった彼女としては。 「(冷蔵庫とかは一緒に使えばいいですよね。部屋はちゃんと空けて掃除しておいたから大丈夫。 ベットも使ってないのが1個ありますし・・)」 ちょっとした計画を立てるみたいで、楽しんでいた。19時半に彼らは逢う。 「ありがとう真由さん。じゃあ、また電話します」 そう言ってケータイを切った彼。雑踏の中でベンチに腰掛けていた。駅前通り。 今日から住む場所が変わる。短い期間だけだが。 彼としてはその辺りは大した問題ではない。ただ、干渉は出来る限りして欲しくないとか。 ただ"駅に近い"&"家賃を払わなくてよい"というだけで知らない人と住むコトを決めた。 赤の他人と。しかも女。よく相手も許可したものだと思う。体が目当てか?とも思える。 だけど、それすらも彼としては大した問題ではない。前者よりも。 言ってしまえば、慣れていた。そーゆー類に。 「・・・眠」 指先を目元に運んだ。今日の朝までその日限りの相手と同じ寝床にいた彼。 お昼ごろにはちょっとした新しい生活を送るための準備をしに、自宅へ帰った。 別に1人暮らしをしているワケではなかった。兄がいた。義姉も。 だけど、とある理由で、彼の中にある感情のせいでカナリ居辛かった。その家は。 彼はその為あまり家には帰らなかった。帰ったとしても今日みたいに昼間とか誰もいない時間に。 一応、何かから逃げてしまっている自分に厭きれは感じている。一応。 「(・・何時終わるんだろうな、この状況)」 今度は両手を瞑った両目に持って行き、感情をなぞった。 思えば何時から"この状況"だったのだろう?何年前から? 2人が結婚したあの日からだとしたら・・・2、3年前からか。 や、違う。自分はそれよりもずっと前から何かに逃げていた。 でも、その"何か"がよく判らないまま此処にいるので彼は長期戦な"今"をうろついてしまっている。 「(・・・気持ち悪・・そろそろ行くか)」 まとめてきた荷物を片手に持ち、立ち上がる。身体だけは。 もう1つも同時に立ち上がってくれればいいのに、なんて思うコトさえ無理なコトだが。 そして、彼は雑踏の中へと消えた。ただカラカラに乾いた感情だけを抱いて。 思っていたより帰ってくる時間が遅くなった。約束の時間を10分程過ぎてしまっている。 とりあえず郵便受けを確認して、彼女は自室へ向かう為、エレベーターへ小走りで。 スイッチを押したらすぐに扉は開いた。そして中へ入り、"10"のボタンを押し、扉を閉めた。 上昇していくエレベーター。あまり速くはない。10階だから、というせいもあるかもしれないが。 「もう既に来ていて怒っているかもしれませんねー・・。失敗しました・・」 勿論、鍵は閉めてあるし、新しく来るその人にも渡していない。 待たせてしまっているかもしれない。そう考えるとさらに気持ちは焦る。 やっと扉が開いた。彼女はまた小走りで、そして自室へと向かう。 「(・・・・・ぇ・・・?)」 あと5メートルくらいで自室。それは判っている。 でも、いつもと違う。予想していたこれから3ヶ月一緒に住むつもりの女の人も扉付近にいない。 ただ、扉の横で寂しげに1人で突っ立っている男の人しかいない。 「・・あの・・・?」 前へと歩みだして、とりあえず呼びかけた彼女。何か自分に用があるのだろうかと思ったので。 彼は彼女の呼びかけに気づいた。そして顔を彼女の方へ向けた。 何処から来た人なのだろう・・?とか思いつつも問いかけた。 「何か私に御用ですか?ずっとここで待っていらしたようですが・・」 「・・あんた、此処の人?」 「ええ、そうです」 「・・話聞いてないのか?」 「え?」 話、と言ってもあなたなんか知らないんですケド・・とか思いつつも相手の男の顔を見る。 見たところまだ若そうで。多分、彼女とあまり歳は変わらない。 髪は濃いブラウンっぽい。背は彼女よりも少し高い。 ピアスもいくつかしているトコロからすると・・学生? そんなコトを考えていたら今度は彼女が問いかけられた。 「・・此処に19時半に来いって言われたんだけど」 「・・・あの、きっと部屋を間違えちゃってるんですよ。此処は『1005』ですよ?」 「あぁ、『1005』であってる」 「・・・ぇ?・・」 と、すると。もしかしなくても。 ぇ、でもまさか、そんな・・とか思いつつも。 3ヶ月間、彼女が一緒に住まなければならないという相手とは・・・。 汗が伝いそうな中、彼女は答えを訊いた。 「・・あなた、もしかして川島 真由さんのいとこですか・・・?」 「そうだけど」 「・・・失礼ですが、あなた生物学上"男"ですよね?」 「・・あんた頭おかしいんじゃねぇの。見れば判るだろうが」 「・・・・・・・・・・・」 事実とはとても恐ろしいモノだと初めて知った彼女。現在23歳。 「真由さんっ!!!どーゆーワケですかっ!コレは!!」 怒りの電話を友人へと送る彼女。 とりあえず、先ほどの彼は新しく来る同居人の為に用意しておいた部屋に入れた。 そしてすぐさま電話の前へと走ったワケで。 『ちょっとひよの何怒ってるの?』 「男の人じゃないですかっ!来た人!」 『前から言ってたじゃない。男だって』 「そんなの初耳ですよ!!」 『あれー?そうだっけ??』 「そうですっ!!!」 電話の前で叫ぶ彼女。友人はカナリ重要なコトを彼女へ告げるコトを忘れていたのである。 しかもあまり悪びた様子は見せない。 『・・まぁ、あんた今男いないんだからちょうどいいじゃない』 「はぁ!?何言ってるんですか!何かあったらどうするつもりなんですかっ!?」 『んー、何かあったら面白そうね♪結構カッコイイめでしょ?彼』 「カッコイイとかそーゆー問題じゃなくてですね・・・」 『んじゃ仲良くしてやってね☆じゃあまた明日!」 「ちょっ・・・・」 プツっ!とキレイな音で切れてその後に残るのはツーツーと電子音。 しばらく固まった後、諦めて受話器を置いた。 どうすればよいのだろう・・。これから本当にあの男と3ヶ月間同居しなければならないのだろうか? 確かに、彼女にも非はあった。確認をちゃんとしなかったワケだし。 だけども・・・ 「追い出したい気持ちでいっぱいか?」 後ろから声が聞こえた。この部屋では聞き慣れていない、男の声が。 どうやら会話は聞かれていたらしく。まぁ、大声であった為、聞こうとしなくても彼の耳に入ってしまったワケだが。 すぐさま振り返った。そして言い訳っぽい言葉を並べてみる。 「ぇ、ぁ・・や、ただちょっとビックリしただけで・・その、」 「・・安心しろよ」 「え?」 「3ヵ月後にはちゃんと出てってやるから」 こんなコトを言われた彼女は何だか、心に罪悪感が出来た。 別に寂しげに彼が言うワケでもないのだが。そして彼はこう言った。 「その代わり、俺に干渉すんな。部屋にも入るなよ」 彼は"ただ住んでいる部屋が一緒なだけで何も関係はない"という状態を望んでいるらしい。 確かに、彼女も彼と3ヶ月間同居するのにはカナリ躊躇いがある。 けれども・・・ 「・・別に、そこまで拒絶しなくても・・・」 「じゃあな」 「ぁ、ちょっと・・・」 彼はさっさと自室へと戻っていってしまった。勿論、鍵も閉めて。 そして、彼女はと言うと。 リビングの中央にあるイスに座って、ぼーっと考えていた。このままでいいのだろうか、と。 何かあるのは困るのだけど。でもこのままではあまりにも寂しすぎる。 せめて、"同居人"としての付き合いぐらいしてもよいのではないだろうかと思う。 「・・・よしっ」 彼女は立ち上がった。そして、彼の部屋の扉の前へと向かった。 彼と"同居人としての付き合い"を少しでも前進させる為に。 コンコンっと扉を叩いた。そして、呼びかけようとした。 しかし、彼女は彼の名前を知らなかったコトにそのとき気づいた為、 「んー・・」と悩みつつも叩き続けるコトにした。 コンコン ・・・・・・・・・・・ コンコン ・・・・・・・・・・・・ コンコ・・・ガチャっ やっと、開いた。目の前には不機嫌そうな彼の顔。どうやら寝ていたらしく。 部屋に明かりはなかった。 「・・・何。煩いんだけど・・」 「そういえばお名前何でしたっけ?これぐらい訊いてもいいですよね」 「・・・・・鳴海、歩・・」 「ではえーっと・・」 彼女は何て呼べばいいのか少し考えた。そして、訊ねた。 「鳴海さん、夕食一緒に食べません?」 「・・・あんたさっき俺が言ったコト聞いてなかったのか?」 「ちゃんと聞いてましたよ」 「・・ちょっと、こっち来い」 「はい?」 何なのだろう、と思いつつも何も考えずに言われた通り 彼の近くへと少し寄った。そして、 ぐいっ! 「!!」 気づいたら彼の方へ倒れ気味になっていて。腕を強く引っ張られたらしく。 「・・ん・・・っ」 唇を塞がれた。無理やり。 勿論、抵抗をしたのだが舌まで入れられてしまった。 ――――そして、やっと解放された。彼はとても冷静な瞳。 彼女は予想できなかった出来事のせいで立っているのもやっとだと言うのに。 最後に彼はこんなコトを言った。 「だから干渉するなって言っただろ。馬鹿」 「なっ・・」と彼女が反論しようとしたら扉は既に閉められてしまっていた。 ただ座り込むコトしか出来ない状態の彼女。腰が抜けている。 テロリストはまだ存在しない。何処にも、いない。 『心情テロリスト ―the first action―』おわり。
次回予告みたいなあとがきみたいな 2005.02.26 とりあえず第一話終わりっ。ε- (^、^;出来たら11話ぐらいまで書いてみたいなぁーと。 よくテレビでやってるドラマはそれぐらいで終わるんで。・・書けるのかね。 ぁ、何故10階かと言うと照久が小さい頃住んでたトコロがが10階だったから。それだけ。コレも社宅なんだけど。(^_^;) と言うか編集社に社宅なんかあるんですかね??あまり現実は考えないで書いちゃったんですケド。 ぁ、次回予告もしなければっ。2話はどんなカンジでしょうかねぇ。うーん・・。( ̄〜 ̄;) とりあえず、少しは和解するカンジで。ありがちで行きますんでヨロシク☆ つーかこの話のキーワードは"ありがち"ですから!!(゜ロ゜)付いてこれる人だけ楽しんで下さいっ。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。