いつもの時間、
いつもの場所で、
いつもの人といたときに、

新聞部部長結崎ひよのは沈んでいた。

床に座り込んでうずくまるほどに。


そしてその付近にはベタベタとしている液体。




「・・小学生かあんたは」
「うぅっ・・・だって!!せっかくのアイスを落としちゃったんですよ!?」
「・・・だから?」
「悲しいじゃないですか!!!」




そしてまた彼女は悲しみの原因であるその液体に目線をまた戻した。

しかしいくら見たってその液体が固体に戻るコトは無い。


もとはひよのが歩のために買ってきたアイス。

しかし彼女は彼に渡そうとしたときにこけて彼の分だけを落としてしまった。


彼がため息交じりに言う。




「あんたのはココにあるから別に悲しむコトないだろ」
「鳴海さん!あなたは自分の食べるつもりであった
 アイスを他人に落とされて何も思わないんですか!?」
「思わないな。別に俺は無いなら無いでいいから早く自分のヤツ食えよ。溶けるぞ」
「人のを落としといて自分だけなんて食べれるワケ無いじゃないですか!!!」




彼女はそう叫んだ後、またうずくまった。

泣きながら。


彼女の泣き顔ならある意味見慣れている彼がまたため息をもらす。




「・・そんな顔してないで、こっち来い」
「顔なんてうずくまってて見れないじゃないですかぁ〜うぅー」
「今はそんなツッコミはいらない」





























そんな顔してないで、こっちおいで。





























「では食べましょう♪」


彼女はすでに上機嫌であった。


理由はというと。

どうしても彼に自分が買って来たアイスを食べてもらいたかったため


1つのアイスを2人で食べるという話になったからだ。




「あー、くだらねぇ」
「このアイス限定モノなんで朝にわざわざ並んだんですよー」
「何から何までくだらねぇな・・。だいたい朝から今までコレはどこに保冷しといたんだよ」
「冷蔵庫に決まってるじゃないですか」
「だからドコの」
「学校のですよ」
「学校のドコの」
「ココのです」




そして彼女が小さめの四角い箱を指した。

この部屋にあんなモノは無かったはずだ。


と言うか部室に冷蔵庫なんて有るハズが無い。




「・・・だいたいの経緯は判った」
「さぁ鳴海さん!食べて下さい♪」
「あんたが先に食えよ」
「何でですか」
「食う気がしないから」
「ダメですよ!一緒に食べないと!」
「何でだよ・・」
「私が鳴海さんのために買って来たモノなんですから私だけ食べてたら意味が無いでしょう」
「無い知識を絞って正論を言うな」
「正論と認めるんでしたら食べて下さいよ!」




ほらっ!とひよのがアイスをすくったスプーンを歩の前に差し出す。




「・・いいって」
「何でですか、美味しそうじゃないですか!
 鳴海さんが甘いの苦手そうだなぁっと思ってバニラ買って来たんですよ!」
「・・・しゃあねぇな」





歩が静かにひよのが差し出したスプーンを口にくわえた。少しだけ。

本当にスプーンの先の方だけ。


そしてそのまま目線をひよのに合わせた。ゆっくりと。



ひよのは何故くわえたままなのだろうと思っていただけだったが

彼と目線が合ったときには何も考えていなかった。






彼が彼女に口付けていたから。





そして上唇をそれ自体を味わうように舐め、

離して余裕の微笑みを彼女に向けながら、言う。



「食ってやった」
「・・・はぁー、何であなたとは普通にモノを食べるというコトが出来ないんでしょう」
「あんたが一緒に食べるって言ったんだろ」
「前には確か口移ししろとか言いましたよね」(励まして〜のお題5参照)
「別に口移しでも食べてやったが?」
「・・もう知りません!」



彼女が彼に背を向け、怒りながら残りのアイスを食べる。


そんな彼女の背中を彼が見る。




「結構甘いだろ、ソレ」
「・・・・・・・・・」




彼女は無言のままアイスを食べ続ける。

まだ怒っているらしい。




「食ってやったんだから怒んなよ・・」
「・・・・・・・・・・」




未だに無言のままのひよの。




「すねてんのか」
「・・・・・・・・・・」
「・・そんなに俺にキスされるのがイヤなのか」
「・・・そうじゃありません、ケド・・」





やっと彼女が無言でいるコトをやめた。

彼が途中で立ち上がり、抱きしめていたコトもあってか。






「・・じゃあ何でそんな怒るんだよ」
「・・・・・・・・・・・」
「黙るのは反則だ」
「・・私は、普通に鳴海さんと・・」
「俺と?」
「・・・アイスを食べたかっただけなのに・・」
「・・・・・・・・」
「あんな発情的なコトするから!」
「・・・・おい」
「だから怒ってるんですよ。ほら、放して下さい」




アイスを片手に彼女は歩を追い払おうとする。

しかし歩は放さず、少しの間考えていた。




「・・おい」
「何ですか〜。放して下さいと言ってるでしょ〜?」
「(まだ怒ってんのかよ・・)ちょっとスプーン貸せ」
「は?」
「いいから!」




ひよのはよく意味が判らないまま歩にスプーンを渡した。

そして歩は片手はひよのを放さないまま、スプーンでひよのが持っているアイスをすくう。


続けて彼女の口の近くにソレを持っていった。



「ん」
「や、"ん"と言われましても・・」
「いいから食えよ」
「・・・・・・・」



そしてひよのが黙って言われた通りにソレを口に含んだ。

やっぱり、甘かった。



「で、次はあんたが俺に食べさせれば一緒に食べたコトになるだろ」
「・・・・・・・・・」
「何だよ、不満か?」
「・・・ちゃんと反省してます?」
「してるって」
「・・なら、はい」



ひよのがスプーンでアイスをすくって歩の口元に持っていく。

彼女の後ろにいる彼は少しだけ前にかがんでソレを口に含んだ。


今度は少しだけでは無く、ちゃんと一口分。



そんな彼が食べた後に一言。





「御馳走サマ」


つづく。


あとがき。2004.12.07 何故かアイス。つーか歩さんの行動がどんどんいやらしくなっているのは気のせいだろうか。 何かお題の達成度はupする度に歩さんのキスが上達してるような気がする・・。 そりゃひよのさんも怒るよ。(ぇ *お手数ですがメニューからお戻り下さい。