目が覚めた。日が差していた場所。


しばらく何も考えないままで。そして片手で頭を抱える。

辿ってみる。今日やるべきコトを。


特に何も無かったコトが判ると、ベットから出て洗面台に向かう。

足は重い。頭も。


そこには鏡。

ソレは当然自身を映し出すモノ。



「…気持ち悪ぃ・・」



また頭を抱える。過去の自分が見えるようでとても不愉快。

過ちを感じてしまう。何もかもに。

何もかもが間違いに思える。またそんな自分に吐き気がしてしまう。

普段はそこまで別に何も鏡に対して思わないのだが今日はダメだった。

理由なんてない。そんなモノは全て気分。だから余計に厄介。


適当に顔を洗って、適当に歯を磨く。

不愉快な思いをさせられた部屋を出る。そしてリビングへ。

同居人の2人はすでにいない。静か。

時間は知らない。確認しない。

休みの日に自分にとってその行為はあまり意味が無いと思えるので。


適当にテレビを付けて、服を探す。白の長袖シャツにジーパン。

やっている番組からして今は昼間らしい。

ワイドショーがやっている。最近は物騒な事件ほど周りの人間が騒ぐ。

そんなような気がしてならない。自分が殺人犯だと疑われたときもそうだった。


そして、彼女に会った。

あのときは迷惑に思えて仕方が無かったが今思えば

自分はあの事件に感謝をするべきなのか。

着替えながらそんなコトをぼーっと考えていた。


そのとき。



ピーンポーン



勿論、自分の家に誰かが来た。

誰かはコレだけでは判らない。ただの合図に過ぎない。

だが、今の自分には


彼女としか思えなかった。確信に似たモノ。



急いでドアを開けてしまった。ガラにもない。





























そんなにオレに会いたかった?





























「こんにちは鳴海さんv」



やはり彼女であった。当たり前だけど私服。

赤のチェックのスカートに黒色の長袖。髪は何故か下ろしていた。

彼女は彼の家に来るときにはたいてい下ろしている。今さらソレに密かに気付いた。



「・・何しに来たんだよ」



不機嫌そうに話す彼。髪を片手でクシャっとしながら。

対照的に彼女はニコニコとしている。

そんな彼女に自分は悪い感情を持っていないコトが判ってしまって心の中で密かに苦笑。

あぁ、もう終わってんな。自分、と。



「や、別にコレといって用はないんですよ。遊びに来ただけです」
「そんなに俺に会いたかったのか?」



冗談含みに言った。本気でそんなコトは思ってない。

本気で返してもらおうなんて思ってない。いつものように何気なく流して欲しかった。


だけど、彼女は



「そうですよ?」



外には出さない。

が、一瞬固まった彼に彼女が気付いたかどうかは判らないが



「お邪魔しまーす」



とか勝手なコトを言って既に勝手に入ってしまっていた。

拒否しきれない自分に複雑な感情を持った瞬間。

扉の鍵をしめて彼も彼女の後を追った。



「邪魔以外の何でもないな」



ウザそうに言う彼。

だからオマエはいいって、出てくるな。自己嫌悪の元だから。


しかし、彼女はちっとも気にとめてはいないらしく



「あれ〜、鳴海さんたらボタン全開にして何してたんですか?」



そう言いながら小走りで自分に近付いていて、

いつの間にかボタンを留め始めていた。


こんな自分に近付いて。



「・・着替え中だったんだよ」
「こんな時間にですか?もう11時半ですよ?」
「休みなんだからこんな時間まで寝ててもおかしくないだろ。あんたが来るとは思わないし」
「私はてっきり密かに何かの歌手のマネでもなさっているのかと」
「誰だよ」



まだ彼女はボタンを留め終えていない。

今気付いたが人にボタンを留めてもらうなんて初めてかもしれない。


下を見れば、彼女がいるのは初めてではないけれど。



「でもいくら休みでも鳴海さんがこんな時間まで寝ているなんて想像しにくいんですケド?」
「早く起きても別に何もないだろ」
「寂しい人ですねー」
「大きなお世話」



時間が止まってしまえばいいのに。

そんな言葉が一瞬だけ頭の中をよぎったが、虚し過ぎるから止めた。

まるでこの先が無いみたいだから。あって欲しいと望む自分がいたから。



「はい、留め終わりましたよ」



いつの間にか作業が終わっていた。彼女は勿論、自分の服をつかんでいるコトなど既にしていなくて。

微妙な距離がソコにはあった。あって欲しくない。


気付いたら抱きしめていた。「きゃっ・・」っと声をもらした彼女を。



「・・鳴海さん?」
「・・・・・・・・・・・・・」



彼女は何かを感じて心配そうに呼びかける。

抱きしめられたコトは何回かあるがソレの程度が違う。包み込むカンジ。

彼女も反発や抵抗はせずに呼びかけ続ける。優しく。



「どうしたんですか、鳴海さん」
「・・・・・・・・・・・・・」
「元気無いみたいですケド」
「・・・・・・・・・・・」
「お体の調子でも悪いんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・」



顔は見えない。無言のまま。何となく怒れない。

そんなときだって、きっとあると思えるから。誰にだって。

こんなときに自分には何が出来るのだろう?と彼の腕の中で彼女は考える。

未だに付けたままのテレビの音が耳を通る。


そのとき、彼がやっと口を開いた。



「・・俺、」
「はい?」
「・・・まだ掃除してないんだけど」
「・・は?」





ガーーーーーーーーーーーーーーー





耳障りで生活感を漂わせるその音が部屋で鳴り響く。

彼女も一応、その作業を手伝う。拭き掃除だが。



「鳴海さーん!」



大声で叫ぶ。彼もその声に気付き、音を止めた。

彼女がこちらに小走りでやってくるのが見える。

そして彼の目の前に立つ彼女。



「鳴海さんのお部屋もお掃除させてもらっちゃっていいですかー?」
「・・何で」
「やー、男子高校生らしくベットの下にアレが色々とあるのかと思いまして」
「アレが色々とって何だよ」
「いいんですよっ。お気になさらなくて!で、いいですか?」



一体、彼女は何を探すつもりなのだろう。理解できない彼。

少し考えた後、結論を出した。



「・・却下」
「えーっ、何でですか〜」
「何となく」
「やっぱりアレが色々とが隠してあるんですね!」
「だからアレが色々とって何だよ」
「そんなんえっちぃ本に決まっているじゃないですか〜」
「・・・馬鹿か」



何が目当てなのかと思えばそんなモノ。

実際よくよく考えてみれば本当にそんなトコロに隠してあるモノなのだろうか。

そんなコトを考えながら話を続ける彼。



「んなもんねぇよ」
「え〜っ絶対嘘ですよぉ〜」
「本当」
「そ、そんなマジメに言わなくたっていいじゃないですかー」



こーゆーのはからかうのが楽しいのでマジメに返されるのは困る、と彼女の思想があった。

彼にとって彼女をからかうのは簡単なコトらしいがその逆は難儀なモノらしい。

「ちぇー・・」とでも言いたげで悔しそうな彼女が近くにあったテーブルを拭く。



「・・なぁ、」
「何ですかぁ〜?」



先程の悔しさが未だに少し残っているらしい。不機嫌さが言葉に滲み出ている。

彼はやれやれと思いながらも会話を続ける。



「コレ終わったら飯でも食いに行くか?」
「ぇ。・・い、行きたいですっ!!」



すでに機嫌が直っている彼女。とても嬉しそうに彼を見る。

苦笑する彼。彼も嬉しそうだが。



「あんたって本当に食うコトはスキだな」
「何食べに行きましょうか!?」
「あんたが決めろよ。俺は何でもいいから」
「何がいいですかね〜。ぁ、勿論鳴海さんの奢りですよね?」
「・・別にいいケド」
「ですよね〜vv」



そう言いながらぎゅーっと彼の腕にしがみ付いている彼女。

とても彼より1つ上とは思えない。幼い彼女がソコにはいた。

「邪魔だからどけっ」と言い、離させた彼。


本当に会いたかったのは自分なのだと彼が気付く日はまだまだ遠いかもしれない。

しかし、救われているコトには薄々気付いていたかもしれない。


今日彼女がココに来てくれたコトに感謝していたから。

そんな、休日。




つづく。


あとがき。2005.02.05 微妙に事実も含めたお話。つーかまた日常っぽくなっちゃったよぉー・・嗚呼・・。 お題もやっと4分の1消化です。道は遠いね。果てしなく。文章力でも言えますが。 ちなみにコレがお友達に見せたヤツだったり。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。