「鳴海さん」
「・・・・・・・」
「鳴海さーん」
「・・・・・・・・・」
「・・・寝てるんですか」
「・・・あぁ」
「起きてるじゃないですか!!」



部室の机でうつ伏せになっていた歩にひよのが呼びかけた。

しかし彼はカナリ眠たいらしく彼女のその行為に対してあまり良く思っていない様子。



「・・まさかそのまま寝ちゃったりとかしませんよね?」
「・・・うるせぇな・・」
「なっ!何ですかその態度は!!そんなドスのきいた声で言わなくてもいいじゃないですか!!」
「・・・・・・・・」



また眠り始める歩。

ひよのは勿論、激怒。



「鳴海さーーーーーん!!!!!!」
「ああ!!!もううるせぇな!!!!」



そして歩はひよのの顎を無理やり引っ張り、

口付けをした。


そして呆然となったひよのをすぐに放し



「・・・すぐ戻るから、イイ子にしてろ・・」



そう言い残し、また眠ってしまった。

ひよのはただその場で言われたとおり待っているしかなかった。


・・・・戻るって、ドコから?とか思いつつ。





























すぐ戻るから、イイ子にしてな。





























「で、寝てしまったんか。コイツ」


1人で歩が起きるのを待っているのもヒマなので火澄を呼んだ。

そしてひよのがお茶をすすりながらさっきのコトを火澄に話していた。



「はぁー・・・何でこんな人になっちゃったんでしょうかね〜」
「そんなんお下げさんのコトをスキだからに決まっとるやん♪」
「そうなんですかねー」
「当たり前やん」
「家ではどんなカンジなんですか?」
「や、メッチャ普通やで。いつも通り無愛想で過ごしとる」
「まぁ、無愛想なトコロはいつもなんですケドね」



ため息を付くひよの。

最近はどうも歩に振り回されてばかりいる気がする。



「歩の愛の深さはこの前判ったやん。(お題6参照)何が不満なん?」
「それは勿論!」



ひよのが眠っている歩をビシッと指差して言った。



「going my wayな鳴海さんだからです!!」
「・・・つまり自己中ってコトやな」
「そうです!自己中なんです!強引なんです!悪魔なんです!キス魔なんです!!」
「えらい言われようやなぁ、歩も」
「だって!何かにつけてチューばっかしてくるんですよ!?完璧なキス魔じゃないですか!!」
「まぁなー。・・でも別にお下げさん以外の人にもしとるワケじゃないんでええんちゃう?」
「・・そりゃ、まぁ・・・そうなんですケド、ね」



その点はひよのも考え込んでしまう。

確かに浮気とかそんなコトは歩は絶対にしない。



「それにこの前だってお下げさんと歩、手つないで帰っとったやん。
 アレは清く正しい男女交際に俺は見えたで?」(お題7参照)
「何で知ってるんですか?」
「ソレは企業秘密や」
「私のセリフです」
「まぁ、とにかく歩もお下げさんのコトをスキで仕方無いってコトや。
 ちょっとくらい手早くても許したったらどうや」
「でも・・・」



アレは"ちょっとくらい"と言うレベルでは無い気がする。

手を出すのを少しでも許したら大変なコトになってしまうような・・とも思う。



「あのな、お下げさん。男が1人の女を愛してくれとるんやで贅沢言うとったらあかんで」
「・・私は贅沢なんでしょうか」
「お下げさんはまだ大丈夫や。だけど、そうなって手遅れになる前に言いたかったんや。・・ごめんな」
「ぇ!?や、火澄さんが謝るコトじゃありませんよ!」
「そうか?・・・何かくさいセリフ言ってしまったなぁ」
「そんなコト無いですよ!火澄さんはちゃんと私の相談に乗ってくれるイイ人です!」



火澄はどうやらひよのの味方になってくれるらしい。

それだけでも安心するひよの。


そんなとき、火澄が立ち上がった。



「じゃあ、俺そろそろ帰るわ」
「ぁ、引き止めてスイマセンでした・・」
「ええって。・・お下げさんも寝起きの歩の世話頑張りや」
「え?」
「じゃあ俺はこれで!歩、あんまりお下げさん虐めたらあかんで」



火澄はそう言い残し、部室を去っていった。

そしてひよのがちらっと歩の方を見る。


しかし彼はまだ起きてはいない様子。

ほっとするひよの。



「鳴海さんもこうしてたら問題無いんですケドねぇー・・」



と、言いながら隣に座り、歩の頭を撫でようとした。


その瞬間、




「きゃぁ!?」




腕を引っ張られて寝起きの男の腕の中へ。



「な、鳴海さん!?起きてたんですか!?一体いつから・・」
「・・・あんたが俺のコトをキス魔って言ったあたりからな」
「な!!け、結構最初の方じゃないですか!」
「すぐ戻ると言ったはずだが?」
「・・戻るってドコに?」
「・・・あんたのトコロ」
「意味が判りませんよ・・・そ、それより放して下さい!!」



寝起きの歩はさっきからぼーっとしながら言葉を述べている。

しかし、ひよのを抱えている力はいつもと同じように強い。



「・・俺の悪口散々もらしてたくせに」
「ソレは普段の鳴海さんの行いが悪いからです!」
「贅沢言うなって火澄にも言われただろ?」
「ま、まだ私は贅沢を言っていないと火澄さんはおっしゃってました!だから放して下さいってば!!」
「・・何であんたさ・・・」
「ん・・っ・・!」



歩がひよのの耳に口を近付けて話す。

ひよのは歩のこんな行為が苦手で仕方が無い。何も考えられなくなるから。



「・・何で俺のするコトにいつも反対するワケ?」
「そ、んなの・・鳴海さ、んが・・いやらしいコトしようと・・するから・・!」
「でもあんた本気でイヤがってないだろ?」
「それは・・」
「なら最初からおとなしくしてろ」



そう言いながら歩がひよのの顎を持つ。



「い、イヤ・・・!」




そのとき、



「やめたれ歩。お下げさん半泣きやん」



帰ったはずの火澄が何故かいた。



「火澄さん!」
「やっぱ何かすると思ったわ・・お前もいい加減にせぇよ。歩」
「・・・お前には関係無いだろ。邪魔すんな」
「邪魔をするつもり無い。ケドなぁ、お前・・




お下げさん泣かせて楽しいんか?」




少しの沈黙。

それを破ったのは歩。


しかも黒く(?)笑いながら。




「俺が泣かすんだったら問題無い。むしろわざと泣かせてやってんだよ。・・それが何か?」




ひよのも火澄も背筋が凍る。

そして脳内にこの言葉が浮かぶ。"コイツは根っからのサドだ・・"と。



「・・はぁー、ゴメンなお下げさん。俺、コイツに勝てる気しやんわ」
「え」
「だから、まぁ・・お下げさん」



ニコっと笑いながら火澄が言った。




「頑張りや♪」




そして今度こそ本当に去っていった。

あまりにも黒すぎる歩に恐れをなしたのである。



「ちょ、ちょっと火澄さん!?」
「頑張れだと。・・どうする?」
「い、イヤーーーーーーーーーー!!!!!」



今日は火澄にも歩に敵わないと言うコトがよく判ったひよのであった。


その後、歩がひよのをどうしたかは内緒。


つづく。


あとがき。2004.12.05 まーたチューしてるよ歩さん。いい加減にしましょうね。 どうやら彼はチューをただひよのを黙らせる行為としか思っていないらしく。 そしてひよのはただ黙るしか無いと言う状態。それにしても火澄イイ人にしすぎたかなぁ・・。 結局は逃げちゃったんだからイイ人では無いか。別に。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。