「歩〜」 今日もいつものように部室に入ったらそこにはひよのでは無く火澄の姿が。 しかも彼は手をひらひらさせながらニコニコしている。 「何してんだお前・・」 「ええやんたまには。お下げさんおらんから俺が代わりや」 「・・アイツは?」 「お下げさんなら見たコト無い男とどっか行ったで?」 「そうか」 「心配ちゃうん?」 「・・お前が俺が心配するのを期待してるみたいだからな」 「まぁな」 歩が火澄の隣に座った。そしてしばらくの間黙っていた。 しかし、やはり落ち着かなかったらしい彼は急に立ち上がった。 「・・・・・・・」 「どうしたん歩〜?」 「・・・・・・・・・」 「俺睨みつけてもお下げさんは出てこやへんで〜?」 「・・・しょうがねぇから心配してやるよ!!!」 歩は火澄にそう言い残し、部室を去った。 彼にしては珍しく必死な表情で。 そして1人残された火澄はと言うと・・・・ 「良かったな〜ちゃんと愛されとるやんお下げさん♪」 頼むから心配させてくれんなよ。 「畜生・・ドコ行ったんだアイツ・・・」 息を切らしながら廊下の壁にもたれかかる歩。 あれからずっと学園中を探し回っているのだが一向に見つかる気配は無い。 特にココの学校は広いので全部回るだけでも大変。 「だいたい・・何で俺がアイツを探すのにこんなに必死なんだ・・・?」 息を整えながら歩はそう思えてきた。 歩は何に対してもあまり必死になったコトは無い。 けど、今は・・・ 「ただ・・・誰かほかの男といるってだけなのに・・」 今まであまり思わなかった感情が自分の中で確かに出来ている。 自分はカナリ必死であるコトを実感してしまう。 自分はおかしくなったのかとも思えるくらい。 「馬鹿か・・俺は」 そんな自分に苦笑しながら彼はまた探し始めた。 自分では気付かなかったくらい大切な存在となっていた彼女を。 ―――――もう、何回学校中を周ったか判らないくらい時間が過ぎた。 どれだけ走り回ったかも判らない。 どれだけ彼女のコトを思ったかも判らないほど。 「・・・・カバン取りに行って帰るか」 ゆっくり部室へと歩きながら考える。 そんなに必死になるようなコトであっただろうか?今回のコトが。 別に明日になったら会えるワケで。 でもそんなんじゃ全然納得できない自分がいて。 とにかく何かしなくては落ち着かない気分になって。 そして歩はぼーっとそんなコトを考えながら部室の扉を開けた。 すると目の前には・・・・ 「鳴海さん!」 探し求めていた彼女が立っていた。 微笑みながら。 「遅かったですね〜。鳴海さんったらドコまで行ってたんですか〜?」 「・・・あんた、まさか・・」 「火澄さんから聞いたんですケドちゃんと私を探しに行ってくれたようですね〜。エライエライ」 そう言いながら歩の頭を撫でるひよの。 しばらくはその状態でいた歩であった。が。 「鳴海さん・・・?」 いつもの強引とはちょっと違い、どことなく優しさの有る抱きしめ方をした歩。 ひよのもそんな彼に今日は抵抗しなかった。できなかった。 「・・・・・・・」 「・・・鳴海さん?」 「・・・頼むから心配させてくれんなよ」 「・・・心配、しました?」 「・・あぁ」 「ごめんなさい」 「全くだな」 「でも!鳴海さんも悪いんですよ!!最近私にチューばっかりするから!」 「何でそれが今回の原因になるんだ」 「だって・・ソレだけが目当てで一緒にいるのかなぁとか思っちゃったんですもん!」 歩にとっては拍子抜けしてしまう理由。そりゃそうだ。 あんなに必死で探していた人がコレなんだから。 「・・・あのなぁ」 「だから火澄さんに協力してもらって確かめさせてもらったんですよ!!」 「何を」 「鳴海さんの"愛"をですよ!」 「・・・で?」 「ちゃんと私って愛されてるんだなぁ〜と思いましたよ」 「何だそりゃ・・」 「ぁ、ちなみに男の人と一緒にいたと言うのも嘘ですよ」 「あぁそうかよ」 ぶすっとした様子の歩。 ひよのもどうやってなだめたらいいか彼の腕の中で考える。 「えーっとぉ・・・鳴海さん?」 「何だよ」 「・・・帰りません?」 「・・・・そうだな」 ひよのを放し、カバンを探し出して歩は扉へと向かう。 よっぽど今日は疲れた様子。 そんな歩にひよのは 「・・・何してるんだ」 「何って手をつないでるんですよ。見れば判るでしょう」 「帰るんじゃないのか?」 「だから手をつないで帰るんですよ」 ニコっとした彼女。 そんな彼女をしばらく眺めた後、彼は 「・・・帰るぞ」 「はい♪」 やっぱり疲れた様子であった。内心、少し嬉しかったらしいケド。 つづく。
あとがき。2004.12.04 久しぶりにチュー無しで終わった!!火澄出たし! 火澄はこれからもひよのを助ける、あるいは歩の敵として出てくるでしょう♪ 歩も珍しく黒くなかったなぁ・・。 *お手数ですがメニューからお戻り下さい。