「ぁ、ひよのさん!」 部室に向かう途中、理緒に呼び止められたひよの。 「理緒さん!」 「あのー・・・ちょっと聞いていいですか?」 「何ですか?」 「・・弟さんと付き合ってるって本当ですか?」 多分、情報源は浅月だろう。 別に隠す必要も無いので正直に答える。 「えぇ、本当ですよ」 「大変そうですね」 「そりゃもう。浅月さんに聞いたんですか?」 「確かに香介君にも聞いたケド・・それ見れば判りますよ」 そう言いながら理緒が指を指した方向をひよのが見ると・・ 「きゃー!!!な、何ですかコレ!?」 「知らなかったんですね・・やっぱり」 彼女が驚いたコトとは・・・?(だいたい予想付くケド) バカだな、妬いてんのか? 「鳴海さん!!!」 バンっ!!と勢い良く部室の扉を開けたひよの。 しかし彼はイスに座って机にもたれつつ眠っていた。 「〜っ!!!この人は〜〜!!」 つかつかと前へ歩いていき目の前で気持ち良さそうに眠っている歩の前で少し考えるひよの。 そしてその結果何故か彼の耳をつかみ、 「・・・えいっ!!!」 ビシっ!! 「痛っ!!!」 彼のピアスをカナリ勢い良く抜いた。 ちなみに他人に抜かれてしかも勢い良く抜くとコレはカナリ痛い。 「おはようございます鳴海さん♪」 「あんた・・今、何した・・」 「さぁ?ただ単に私は鳴海さんを起こしただけですよ?耳に軽ーく衝撃を与えて」 「普通に起こせ普通に・・チクショウまだ痛ぇ・・・」 「鳴海さんが首に付けたヤツの仕返しです!」 「首に付けた・・・?」 ほらっ!!とひよのが歩に見せる。 その部分は小さく、赤くなっていた。 「あー・・アレか」 この前、歩が付けたヤツである。(お題2参照) ちなみに本人はちっとも反省の色は無く、耳を押さえていただけであった。 「何が"あー・・アレか"ですか!!こんな見えるトコロに付けないで下さい!!!」 「何で」 「恥ずかしいからに決まってるでしょ!!!」 「そんなコトはどうでもいいから・・・」 「ど、どうでもいいなんてよく言えますね!!!」 「これから見えないトコロに付ければいい話なんだろ?ピアス返せよ」 「そ、そーゆー話でも無くてですね!!!・・・あれ?」 よく見たら普段付けているヤツとは違ったピアスだった。 怒りのあまり気付かなかったひよの。 「コレ、どうしたんですか?いつものとは違いますよね?」 「・・クラスのヤツにもらった。付けないからって」 「ぇ・・・」 何となく不安になるひよの。 何故こんな気持ちになるのか判らないので戸惑いもある。 そんなひよのを歩はちゃんと気付いていた。 「・・あんたが取ったんだからあんたが付けるのは当たり前だよな?」 「は、はい!・・・そう、ですね」 論理的には歩の言うコトは確かに正しい。 ひよのもそう思う。 でも、ひよのは付けたくなかった。別にその作業が面倒とかそんな理由では無く。 ひよのの動きが止まる。 「どうした?」 「・・・ぇ!?いや、何でも無いですよ!」 「なら早く付けろよ」 耳を出してせがむ歩。ぅ・・・と戸惑うひよの。 なかなか進まない。歩のため息が出た。 そしてそんなひよのを見るのを飽きた歩がひよのの腕を引っ張った。 自然とひよのが歩の上に座る形になった。勿論、しっかり捕まえて。 「ぇ!?ちょ、ちょっと鳴海さん何してるんですか!」 「・・・バカだな、妬いてんのか?」 「な!!何で私が妬かなくちゃいけないんですか!」 「さぁ?俺にもよく判らないがあんたがそうなんだから仕方が無いだろう」 「妬いてなんかいません!!」 「じゃあ早く付けろよ」 「そ、ソレは・・・」 なんでためらうのか自分でもよく判らないため本当に困っているひよの。 そんな自分を見ているのを楽しんでいる歩がいるなんてコト、気付きもしない。 「付けたくないのか?」 「や、付けたくないワケでは無いんですが・・」 「付けて欲しくないのか?」 「んー・・・多分、そう、です」 認めたくは無かったが歩の言うとおりの感情を 多分、自分は持っているかもしれないと思ったひよのはそう言った。 別にだからと言って何がどうなるという話でも無いと思っていたから。 勿論、ソレは甘い考えだったが。 「俺が普段アレだけしてやってもあんたは妬くのか」 「妬いてはいませんよ!!ただ、鳴海さんが誰かからもらったピアスをするのがイヤなんです!!」 「・・・しっかり妬いてるだろ、ソレ」 「と、とにかくですね!腰にまわしている手、放して下さいよ!!」 「あんたのワガママ聞いてやるから俺の言うコトも聞け」 「うっ・・・」 言葉がつまる。観念するしか道は無い。 同時に何でこんな男を自分はスキなのだろうと問いたくなった。 「・・・何させる気ですか」 「何させようか」 自分の上に座っていて(座らせていて)、 微妙に上目使いで睨んでいるひよのを楽しげに見る歩。 マシに言えば"惚れた弱み"。正直に言えば"脅迫"。 「じゃあ・・あんたのおかげでキズになった俺の耳を治してもらおうか」 「は?どうやってです?」 「舐めろ」 「却下です」 「拒否権は普通無いだろ。この状況で」 「・・・それ対等のコトすればいいですよね?」 「・・何だよ。言ってみろよ」 そしてひよのが遠慮しながら、恥ずかしそうにしながら ボタンを何個か外し、少しだけ制服の襟の部分から背中を見せた。 「・・・背中だったら、見えませんから・・どうぞ」 「・・何をしていいのか言ってくれないと俺には判らないな」 「〜っ!!もう!付けていいですよって言ってるんです!!!」 顔は見えないが多分彼女の顔は真っ赤。 まさか彼女がそんなコトを言うとは思っていなかったが 彼はちっとも動揺せず余裕に笑ってただ一言。 「・・・上等」 ――――おまけ。 「・・ピアスもらったの男なんだが、まぁ・・・いいか」 非常に良くないと思う。 つづく。
あとがき。2004.11.30 ・・黒っ!!!さすがにココまで来ると判ります。(今さら・・・) 自分で書いてて「お前の脳ヤバいだろ」と何回も思った。思いましたよ!! ひよのも何であんな男に従っちゃうのかねぇ・・照久の責任ですね、はい。 とりあえず・・ひよの可哀想すぎ。歩は・・・性格悪すぎ。人間としてヤバい。人間失格。(ぇ *お手数ですがメニューからお戻り下さい。